CM関節症とは?原因・特徴・装具の考え方を解説

CM関節症は、母指中手骨骨頭と大菱形骨の間の関節CM関節(母指手根中手関節)の関節軟骨の摩耗によって痛みを生じます。
進行すると関節が腫れたり、亜脱臼を起こし母指の変形を来します。

痛む場所が近い、ドゥ・ケルバン腱鞘炎や関節リウマチとの判別が重要となります。 X線検査でCM関節の裂隙が狭く、骨棘があったり亜脱臼が認められると判別しやすいです。

▶ この記事のポイント

・CM関節症の原因と発症メカニズム
・ドゥ・ケルバン腱鞘炎との違い(臨床での見分け方)
・装具療法の目的と固定すべき部位
・日常生活で悪化しやすい動作
・治療の流れ(保存療法〜手術適応)

CM関節症とは

CM関節症
母指中手骨骨頭と大菱形骨の間にあるCM関節の炎症

CM関節症は、使いすぎや加齢に伴いCM関節の関節軟骨が摩耗し、炎症と痛みを引き起こします。

酷くなると腫れや亜脱臼を起こし、運動時の強い痛みや可動域制限を来す病気です。

特に40代以降の女性に多く、ドアの取っ手を回す、瓶の蓋を開けるなどの様々な日常動作で痛みが生じます。


原因

CM関節は強固な関節包靱帯によって支えられていますが、ストレスが繰り返されることにより靱帯が緩み、
関節の不安定性が最終的には軟骨の変性や摩耗を引き起こして発症します。

女性は骨の形状から男性より発症率が高いことが知られています。
女性ホルモンの減少との関連もあるとされ、更年期障害の症状の一つとして疼痛を自覚することもあります。


症状

物をつまむ・ボタンを留める・瓶の蓋を開ける動作で母指の付け根が痛む

CM関節部の腫れ・可動域制限・母指の変形
CM関節背側の突出をショルダーサインと呼びます。


保存療法

装具療法

CM関節症
CM関節を安静位に保持する装具の例

装具により患部を固定します。

CM関節の運動制限のため、母指中手骨と手根骨部(特に大小菱形骨あたり)を固定し、動きを制限します。

日常生活動作で多く物と触れる場所を固定するので、仕事などを考慮して夜間のみ装具固定を行う場合もあります。

薬物療法

消炎鎮痛剤、湿布などが主に用いられます。

消炎剤は主に非ステロイド性抗消炎剤(NSAIDs)やアセトアミノフェンの内服を行います。

手術療法

おおむね3~6か月の保存療法で症状が改善せず、強い疼痛と変形が認められるときは手術を検討する場合もあります。

手術療法には

などさまざまあります。


装具療法の解剖学的な目的

CM関節は鞍関節構造を持ち、屈曲・伸展・外転・内転・対立といった多方向の運動が可能な一方、
安定性は靱帯に大きく依存しています。

特に重要なのは前斜靱帯(beak ligament)であり、この靱帯が緩むことで
母指中手骨が背橈側へ亜脱臼し、関節への剪断ストレスが増大します。

装具の目的

そのため装具は単に「固定する」のではなく、
母指中手骨基部と手根骨(大菱形骨)を適切に支持する構造が重要になります。

またIP関節やMP関節を過度に制限しすぎるとADL低下を招くため、
「必要最小限の固定」が設計のポイントとなります。

ドゥ・ケルバン腱鞘炎との違い

CM関節症とドゥ・ケルバン腱鞘炎は、いずれも母指周囲に痛みを生じるため混同されやすい疾患です。
しかし、障害される部位と病態は大きく異なります。

項目CM関節症ドゥ・ケルバン腱鞘炎
障害部位CM関節(関節)長母指外転筋・短母指伸筋の腱鞘
痛みの場所母指の付け根(関節部)橈骨茎状突起部(手首の親指側)
原因軟骨摩耗・関節不安定性腱の使いすぎによる炎症
特徴変形・亜脱臼あり腫脹・圧痛が中心
テストグラインドテスト陽性フィンケルシュタインテスト陽性

特に重要なのは「痛みの位置」です。
母指の付け根の深部痛であればCM関節症、手首側の表層の痛みであれば腱鞘炎の可能性が高いです。


CM関節症に用いられる装具の例

CM関節症には多くのレディメイド装具が販売されています。
ここで、いくつかご紹介します。

母指基節骨まで覆うタイプ

①P.O.サムレスト

P.O.サムレスト
P.O.サムレスト

布製のサポーターで、母指長軸のサイドを支える薄い樹脂ステーが内蔵されています。

母指を撓側外転させた肢位で保持し、対立位より握り動作がし辛い構造をしています。

母指ストラップがスライドして動くので、片手での脱着や締め具合の調整が可能です。

②CMバンド/CMシリコーン

CMシリコーン
CMシリコーン

母指基節骨にシリコーン製のループをかけ、手首を回すエラスバンドで母指を撓側外転位に保持します。

特徴として、大菱形骨と橈骨茎状突起の間で長母指外転筋腱と短母指伸筋腱を押さえるパッドが付きます。

③サムケア

サムケア
サムケア

手の専門医が開発した装具です。

形状は中村ブレイスのCMバンド/CMシリコーンによく似ていますが、
素材が塩ビ製ということもあり水洗いが容易です。

本体とベルトを分離することもでき、バンド接続部が微調整可能で
破損した部品の交換も可能です。


母指MP関節近位までのタイプ

①PuchCMC

PushCMC
PushCMC

固めの素材ながら装着感が良く、母指対立位にしっかり保持します。

母指中手骨から母指球までアルミニウム補強がされており、高い固定力を発揮します。

水に濡れても問題ない素材のため、水回りの作業にも適しています。


まとめ

CM関節症は母指の付け根に痛みを生じる代表的な疾患であり、
日常生活動作に大きな影響を与えます。

特にドゥ・ケルバン腱鞘炎との鑑別が重要であり、
痛みの部位と誘発動作を丁寧に評価することが必要です。

装具療法では単なる固定ではなく、
関節の安定化とストレス軽減を目的とした設計が重要になります。

早期に適切な対応を行うことで、進行や変形の予防が可能となるため、
症状を自覚した段階での対応が重要です。

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