自助具とは?自助具の種類と構造、使い方を義肢装具士が解説します

自助具とは、食事・更衣など、日常生活における基本的な動作を補助する器具です。

しかしそれがなぜ必要か、どう使うのかを正しく理解しておくことが大切です。

義肢装具士が自助具を作成することは稀ですが、使われるシチュエーションから、補装具ではなく自助具の提案ができると仕事の幅を広げることができます。

本記事では自助具の種類や構造、基本的な使い方について、義肢装具士が分かりやすく解説します。

こんな方におすすめです。

  • これから自助具を使う予定がある方
  • 自助具の目的や使い方を知りたい方
  • 家族が自助具を使っており、基本的な知識を知っておきたい方
  • 医療・介護・リハビリ分野の基礎知識として整理したい方

定義

自助具とは、
病気、怪我、加齢などで身体機能が低下し、日常の動作(食事、更衣、入浴など)が困難になった方が
可能な限り自分自身の力で動作を行えるように工夫・改良された道具のことです。


用途

食事も更衣も、私たちが日ごろ何気なく行っている動作も、様々な原因をきっかけにして行えなくなってしまうことがあります。

そういった方々の自立した日常生活を支えるのが、自助具です。

日常生活動作のリハビリは作業療法士が行うため、作製も作業療法士が行う場合が多いです。


原因疾患

1.脳血管障害

脳梗塞、脳出血、くも膜下出血による片麻痺感覚障害失行や失認が挙げられます。
これらは片側の運動障害や不随意運動によって食事・更衣・整容動作が低下します。

2.中枢神経疾患

パーキンソン病、多系統萎縮症、筋萎縮性側索硬化症、脊髄小脳変性症などが中枢神経弛緩の代表例です。
これらは動作を緩慢にしたり、筋力の低下、振戦、協調運動障害を来します。

3.脊髄損傷

頚髄損傷、胸髄損傷、腰髄損傷など
四肢の麻痺や対麻痺となると把持機能の代償を必要としたり、食事、排泄、更衣に自助具が必要になります。

把持装具などについては、 手関節装具とは?種類・適応・メカニズムを義肢装具士が解説 で詳しく解説しています。

4.末梢神経障害

手根管症候群、尺骨神経麻痺、橈骨神経麻痺、糖尿病性ニューロパチーなどが挙げられます。
手指の巧緻性の低下、筋力の低下で摘まみ動作や握り動作が困難になります。

手関節装具などについては、 手関節装具とは?種類・適応・メカニズムを義肢装具士が解説 で詳しく解説しています。

5.整形外科疾患

変形性関節症、関節リウマチ、腱損傷、肩関節周囲炎などにより
疼痛で動作困難になったり、可動域制限によって自助具を必要とします。

6.先天性疾患・発達障害

脳性麻痺、先天性上肢欠損、発達性協調性運動障害では生まれてから獲得できる両手での動作が少なくなります。
日常生活動作の学習や日常動作の補助が必要になります。

7.高齢による機能低下

サルコペニア、フレイル、筋力低下は珍しくありません。
日常生活動作のしんどさを軽減する目的で用いられます。

8.外傷

上肢骨折後、腱断裂、四肢の切断後は
一時的または永続的な機能低下をもたらします。これらについて代償動作を補助します。


食事用自助具

適応

食事用自助具の例

以下に食事用自助具の例を挙げますが、患者の状態によっては都度オーダーメイドすることもあります。

食事用自助具
握らなくてもスプーンやフォークが持てるもの
食事用自助具
根本が繋がっているので摘まみやすくなった箸
食事用自助具
片側がほぼ垂直な面を持っていて、皿を傾けなくてもスプーンですくいやすくなっている

更衣自助具

適応

更衣自助具の例

手を伸ばす、空間に保持する・操作するために持ちることが多いです。

これらも患者の状態によってオーダーメイドで作製することもあります。

更衣用自助具
リーチャー。靴下を履く、服を着るときに手が届かないところにリーチします
更衣用自助具
ソックスエイド。足元に手が届かなくても靴下が履けます
更衣用自助具
ボタンエイド。手の巧緻動作が不自由な方でも簡単にボタンが留められます。

その他

更衣用自助具
釘付きまな板。片手でも食材をしっかり固定できます。

まとめ

自助具は、身体機能の低下によって日常生活動作が困難になった方に対して、 「できない」を「できる」に変えるための重要な支援ツールです。

脳血管障害や神経疾患、整形外科疾患、高齢による機能低下など、 さまざまな原因によって日常動作は制限されますが、 自助具を適切に使用することで、自立度を大きく高めることが可能です。

また、自助具は単に動作を補助するだけでなく、 本人の意欲や生活の質(QOL)を向上させる役割も持っています。

義肢装具士としては、補装具だけでなく自助具という選択肢も理解しておくことで、 患者に対してより幅広い提案が可能になります。

重要なのは、疾患 → 動作の困難さ → 適切な自助具という流れで考えることです。

実際の臨床では、作業療法士と連携しながら、 その人に合った方法を選択・提案していくことが求められます。

自助具を正しく理解し、適切に活用することで、 「その人らしい生活」を支えることができるという点をぜひ押さえておきましょう。

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