手関節装具とは?様々な手関節装具を解説
手関節装具は上肢装具の一種で、手関節を適切な角度に保持し、患部の固定や安静位保持を目的として使用されます。
保険上は「手背屈装具」「長対立装具」「把持装具」など多岐にわたり、前腕骨遠位端骨折や手根管症候群など、幅広い外傷および疾患に対して用いられます。
手関節装具の分類
カックアップ用
適応疾患
- 橈骨・尺骨遠位端骨折
- 手根管症候群
- 下垂手
- TFCC損傷
- 手根骨骨折 など
目的
- 手関節肢位の固定
- 保温による疼痛軽減
- 骨折の場合:ギプス固定後、仮骨形成を確認してから装具へ移行
- 慢性疾患の場合:診断後早期に装具固定を行うことが多い
- 下垂手の場合:背屈位保持により日常生活動作を補助
- 原則として母指はフリー、手掌トリミングは遠位手掌基線までとする
- アメリカ整形外科学会(AAOS)の橈骨遠位端骨折に対するガイドラインによると、装具療法は全く転位の無い骨折のみに適応があり、転移のある骨折ではギプス固定の方が望ましいとされています。
チェックポイント
- 遠位部の長さは患肢手指の自動運動ができるよう、遠位手掌基線までのトリミングラインとします。
ドゥ・ケルバン用
適応疾患
- ドゥ・ケルバン腱鞘炎
目的
- 手関節固定
- 母指CM関節固定
- 長母指外転筋腱・短母指伸筋腱の腱鞘炎に対する安静保持
- 母指把握+尺屈で疼痛が誘発される(フィンケルシュタインテスト)
- 手関節〜母指基節骨までのアライメント保持により疼痛軽減
チェックポイント
- 母指は基節骨遠位まで固定しているか
- ただし母指IP関節の動きを制限していないか
把持装具
適応
- 指による把持機能を失った患者
- 頚髄損傷など
目的
- 手関節背屈によるテノデーシス効果を利用した把持
- 母指対立位の保持
ランチョ型把持装具
- 金属製の指の部品と、手掌から撓側を通って背側へU字に伸びた金属製の手掌部品、撓側の支柱から背側に伸びた2本の金属製バンドがある
エンゲン型
- 金属製のラミネーションされたプラスチック製の手掌部品、柔らかいバネ製の板バネが連結した前腕部品からなる。
- この板バネは手関節背屈時の生理的な撓側変位を吸収し、指の屈曲を滑らかに実現している。
ウィスコンシン型
- 指部品は金属製の3部品からなる。うち2つはリング状のものがそれぞれDIP,PIP関節の遠位に、残り1つの背側のみのものがMP関節とPIP関節の間に位置する。
- この指の部品はクリップ機構で着脱可能になっているので装具装着が容易である。
- 手掌部品は金属製のバンドで手掌全体を覆っており、撓側部は対立バーの役割も持つ。
IRM型
- nyloplex製の指部品と手掌部品を持ち、手掌部品はU字型で、適合良く作られていればベルクロなどの固定が不要である。
- 前腕部品も同様で、近位背側と遠位掌側にバーが伸びており、ベルクロが不要である。
