橈骨遠位端骨折とは?Colles骨折とSmith骨折の違いと固定肢位を義肢装具士が解説

転倒して手をついたあと、手首が腫れて動かせない——
手首が赤黒く腫れて、不安定に動くーー
その多くは橈骨遠位端骨折です。

本記事では、代表的なColles骨折とSmith骨折の違いを、 受傷機転・転位方向・固定肢位の観点から解説します。


橈骨遠位端骨折とは

橈骨遠位端骨折は、前腕にある橈骨という骨の手関節に近い位置で起こる骨折です。

転倒時に手をつくことで発生することが多く、特に高齢者では頻度の高い骨折のひとつです。

骨折の仕方によって、代表的に以下の2つに分類されます。


Colles骨折とは

Colles骨折は、手関節が背屈位で受傷した際に生じる骨折です。

受傷機転

前のめりに転倒し、手を前方に着いたときに発生します。

高齢者が前のめりに倒れる
Colles骨折の起こりやすい転倒

転位の特徴

骨片は背側(手の甲側)へ転位します。

Colles骨折
Colles骨折の骨片は背側に転位しやすい

このため、いわゆる「フォーク状変形」がみられることがあります。

固定肢位の考え方

転位を整復し、再転位を防ぐために 手関節軽度掌屈位+尺屈位で固定されることが多いです。

これは、背側へ転位した骨片を掌側へ戻す方向に力をかけるためです。


Smith骨折とは

Smith骨折は、手関節が掌屈位で受傷した際に生じる骨折です。

受傷機転

後方へ転倒し、尻餅をつきながら手を着いたときに発生します。

Smith骨折
Smith骨折の起こりやすい転倒

転位の特徴

骨片は掌側(手のひら側)へ転位します。

Smith骨折の骨片は掌側に転位しやすい
Smith骨折の骨片は掌側に転位しやすい

固定肢位の考え方

Colles骨折とは逆に、 手関節軽度背屈位で固定されることが多いです。

掌側転位を抑制し、骨片を適切な位置に保つための肢位です。


なぜ固定肢位が異なるのか

重要なのは、骨折した方向と逆方向に力をかけることです。

このように、受傷機転と転位方向を理解することで、 適切な固定肢位が導かれます。


装具療法との関係

手関節固定装具
橈骨遠位端骨折後、ギプス固定が終了したら手関節を固定する装具を使用します。

橈骨遠位端骨折の保存療法では、 手関節装具による固定が重要になります。

使用される装具については 手関節装具とは で詳しく解説しています。

また、固定肢位は 機能的肢位 とは異なる場合があり、 骨折の安定性を優先した肢位設定が求められます。

ただし、橈骨遠位端骨折の受傷直後はギプス固定されることが多く、
Colles骨折とSmith骨折のギプス固定肢位として掌屈・背屈を気にする症例が大半で
ギプス固定を数週間以上したのち、仮骨形成後に安静肢位での装具固定となるケースが多いです。


受傷直後の対応と注意点

橈骨遠位端骨折が疑われる場合、 まずは患部を動かさないことが最優先です。

可能であれば副木などで固定し、 そのままの状態で整形外科を受診することが重要です。

前腕遠位部には正中神経・橈骨動脈・尺骨動脈など重要な組織が走行しており、 不用意に動かすことで二次的な損傷や症状悪化を招く可能性があります。

これらの対応は変形の固定化や神経症状の悪化につながるため避ける必要があります。

整復について

透視下整復
骨折後の転位がギプス固定のみで整復できないとき、透視下で整復を行います。

骨折直後に明らかな転位がある場合、 透視下整復(X線を見ながら骨の位置を戻す処置)が行われます。

この処置は強い痛みを伴うこともありますが、 骨の正しい位置を確保するために非常に重要な処置です。

受傷後は自己判断をせず、 できるだけ早く医療機関を受診することが重要です。


他の橈骨遠位端骨折

橈骨遠位端骨折には他にも、掌側バートン骨折・背側バートン骨折・ショウファー骨折がありますが、
ここでは割愛します。


鑑別として重要な疾患

手関節周囲の痛みは骨折以外にも原因があります。

骨折がなくても痛みが続く場合は、これらの疾患も考慮する必要があります。

受傷後の対応によって、その後の機能予後が大きく左右されるため、初期対応は非常に重要です。


まとめ

  • 橈骨遠位端骨折は転倒で起こることが多い
  • Colles骨折は背屈位受傷 → 背側転位
  • Smith骨折は掌屈位受傷 → 掌側転位
  • 固定肢位は転位方向と逆に設定する

橈骨遠位端骨折は頻度の高い外傷ですが、 受傷機転と力の方向を理解することで、治療の考え方が整理されます

装具の使用について
治療用装具は、医師の診察・処方に基づき、症状や目的に合わせて選択されるものです。 自己判断で購入・使用すると、症状に合わなかったり、療養費の対象外となる場合があります。 痛みが続く場合は、整形外科などの医療機関で相談してください。
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