手の骨とは?手根骨・中手骨・指骨の名称や構造を義肢装具士が解説
手は「握る」「つまむ」「支える」など、人間の日常生活に欠かせない多彩な動きを可能にする器官です。その精巧な動きを支えているのが、27個の骨によって構成される手の骨格です。
手の骨は大きく手根骨・中手骨・指骨の3つに分類され、それぞれが多数の関節や靱帯と連携することで、高い可動性と安定性を両立しています。
義肢装具士やリハビリテーション職種にとって、手の骨の名称や位置関係を理解することは、装具設計や疾患の理解、画像評価を行ううえで欠かせない基礎知識です。
しかし、手根骨は8個すべて名称を覚える必要があり、中手骨や指骨もそれぞれ特徴が異なるため、解剖学の中でも苦手意識を持つ学生は少なくありません。
本記事では、手を構成する手根骨・中手骨・指骨の特徴や役割、手根骨の覚え方、さらに手根管との関係について、義肢装具士の視点から分かりやすく解説します。
この記事で分かること
- 手の骨はどのように分類されるのか
- 手根骨8個の名称と配列・覚え方
- 中手骨・指骨の構造と特徴
- 手根管との関係や臨床とのつながり
手の骨の構成
手は人体の中でも特に複雑で精密な構造を持つ部位であり、手根骨・中手骨・指骨の3つに分類されます。
片手には合計27個の骨が存在し、その内訳は手根骨8個・中手骨5本・指骨14個です。 これらの骨が多数の関節によって連結されることで、高い可動性と安定性を両立し、「握る」「つまむ」「支える」「書く」といった繊細な手の機能を可能にしています。
また、義肢装具士にとって手の骨の名称や位置関係を理解することは、装具設計や採型だけでなく、疾患の理解や画像評価を行ううえでも非常に重要です。
手根骨
手根骨(Carpal bones)は、手関節を構成する8個の短骨です。 近位列と遠位列の2列に配列しており、近位列は前腕の橈骨・尺骨と、遠位列は中手骨と連結しています。
手根骨同士は多数の靱帯で強固に連結されており、手関節の安定性を保ちながら、掌屈・背屈・橈屈・尺屈といった複雑な運動を可能にしています。
国家試験では手根骨の名称や配列を問われることが多く、多くの学生が語呂合わせを利用して覚えています。
「父さん月収大小あるけど頭を使って有効に使えよ」
父(豆状骨)
さん(三角骨)
月(月状骨)
収(舟状骨)
大(大菱形骨)
小(小菱形骨)
頭(有頭骨)
有効(有鉤骨)
もう一つ有名な覚え方として、
という語呂もあります。 こちらは近位列を母指側から小指側へ、続いて遠位列を小指側から母指側へ覚える方法です。
語呂合わせは暗記に便利ですが、実際の臨床では「どの骨がどこに位置しているのか」を理解していることが重要になります。 例えば舟状骨骨折や月状骨脱臼、橈骨遠位端骨折では、手根骨の位置関係を理解していることで画像読影や病態理解が容易になります。
手根管
手根骨は掌側でアーチ状に並び、その上を屈筋支帯(横手根靱帯)が覆うことで手根管(Carpal tunnel)を形成します。
手根管の内部には次の組織が通過しています。
- 浅指屈筋腱
- 深指屈筋腱
- 長母指屈筋腱
- 正中神経
これらのうち正中神経が圧迫されることで手根管症候群を発症します。 義肢装具士にとっても、手関節装具やスプリントを設計する際には、この解剖学的構造を理解しておくことが重要です。
手根管症候群については 手根管症候群 で詳しくまとめています。
中手骨
中手骨(Metacarpal bones)は、手根骨と指骨をつなぐ5本の長管骨です。 母指側から第1中手骨〜第5中手骨と呼ばれます。
それぞれの中手骨は近位端を「底(Base)」、中央部を「体(Shaft)」、遠位端を「頭(Head)」に区分されます。
底は手根骨と関節を形成し、頭は基節骨と連結してMP関節(中手指節関節)を構成します。
第1中手骨底は大菱形骨との間で鞍関節を形成しており、母指の対立運動や巧緻運動を可能にしています。 この関節はCM関節症が生じる部位としてもよく知られています。
一方、第2〜第5中手骨底には隣接する中手骨同士が連結するための関節面が存在し、手掌全体の安定性に寄与しています。
中手骨頭は半球状をしており、基節骨との間でMP関節を形成します。 この構造によって屈曲・伸展だけでなく、外転・内転といった運動も可能となっています。
指骨
指骨(Phalanges)は指を構成する骨で、片手に合計14個存在します。
第1指(母指)は基節骨と末節骨の2本のみで構成されます。 一方、第2〜第5指は基節骨・中節骨・末節骨の3本から構成されています。
指骨も中手骨と同様に底(Base)・体(Shaft)・頭(Head)に区分されます。
基節骨は中手骨とMP関節を形成し、中節骨との間にPIP関節、末節骨との間にDIP関節を形成します。 母指には中節骨が存在しないため、IP関節のみとなります。
これらの関節が連動することで、握る・つまむ・つまみ上げるなど、人間特有の巧緻な手指運動が可能になります。
また、マレット指、スワンネック変形、ボタン穴変形などの代表的な手指疾患は、指骨だけでなく腱や靱帯とのバランスが崩れることで発症します。 そのため、指骨の名称や位置関係を理解することは、装具療法やリハビリテーションを学ぶうえでも重要な基礎知識となります。
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治療用装具は、医師の診察・処方に基づき、症状や目的に応じて選択・調整されます。
BFOは適応や調整方法によって効果が大きく異なるため、必ず医師および義肢装具士の指導のもとで使用してください。